BPMに合わせた素材作り

映像素材を製作する際、心がけておいた方がよいことの1つに、
BPMを想定しておくこということが挙げられます。
まず、BPMとは何かという説明から入ります。


BPM (wikiより引用)
Beats Per Minute
音楽で演奏のテンポを示す単位。ビート・パー・ミニット。
→噛み砕いて説明すると、BPMとは演奏のテンポを示す単位で、
1分間に何ビートあるかを示しています。
つまりこの値が高いほど速い曲調、低いほど遅い曲調になります。
例えば、テクノ、ハウスイベントに多い130BPMならば、
1分間に130回のビートが刻まれていることになります。
なお、テクノ、ハウス等の4つ打ちの曲の場合、1小節は4ビートになります。


また、映像素材を製作する場合、フレームレートとは何かという知識があった方がよいので、
FPSの説明もしておきます。
FPS (wikiより引用)
Frames Per Second の略。フレームレートを表す単位。
→噛み砕いて説明すると、FPSとは映像の動きの細かさを表す単位で、
1分間の動画を何コマの静止画で構成しているかを示しています。
つまりこの値が高いほど滑らかな動画、低いほどカクカクした動画になります。


上記の知識から1小節のフレーム数を算出するのに以下の式が導き出せます。




1小節のフレーム数 = FPS*60 / (BPM/4)




例えば、120BPMの曲で、映像素材のフレームレートを30FPSに設定した場合、


1小節のフレーム数 = 30*60 / (120/4) = 60


上記条件で1小節60フレームの映像素材を製作した場合、
120BPMの音楽に完全同期した映像素材が出来上がるという寸法になります。
なお、VJソフトやDVJ等を使用すれば映像素材の再生速度を変更することは可能ですが、
VJソフトの場合、映像素材を遅く再生するのには早く再生するよりもCPUパワーを使用します。
既に述べたとおり、テクノ、ハウスイベントでの主なBPMは130前後になりますので、
それより少し遅めの120BPMに合うように映像素材を作っておいて、
実際の場面では少し早く再生して音楽と同期させるという手法を取ると便利かも知れません。

PCとプロジェクタの接続方法の例

PCでVJソフトと素材を用意したのはよいけれど、
実際に現場でスクリーンにその映像を大きく映し出すには、
PCとプロジェクタを接続する必要があります。
その接続は環境によって色々考えられますが、一般的には【ダウンスキャンコンバータ】(機材/ハードの項参照)を、
PCとプロジェクタの間に取りつけることで可能となります。


現在販売されているプロジェクタの多くにはRGB接続端子を備えているものが多く、
物理的にはPCとプロジェクタ間をRGBケーブルで直接接続することも可能です。
しかし、都内のクラブの多くはプロジェクタからVJブースまでの配線を、コンポジットケーブル、もしくはSビデオケーブルで行っていますので、
現実的にはPCとプロジェクタをRGB端子で直に接続するのは難しい状況です。


そこで上記に記載したように、一般的にはPC→【ダウンスキャンコンバータ】→プロジェクタという接続を、
コンポジットケーブルもしくはSビデオケーブルで行うことになります。


注意:HD画質でのVJプレイを行いたい場合は、自分でRGB、HDMID端子コンポーネントの各ケーブルを用いて配線の取り回しを行う必要があります。

映像素材の準備 -1-

既に映像素材が作れて、その発表の場にVJを利用したいという方はともかく、
ちょっとVJに興味があるけど、どのように始めたらよいか分からないという所から始めた方は、
映像素材自体が無い、あるいはあってもVJソフトに付随している映像素材しかないという状態からのスタートになります。
家もしくは完全に身内のイベントであればそれでもいいかも知れませんが、
実際にVJをするには(人にもよりますが)1時間につき60点以上の映像素材が欲しいところです。


しかし映像が全く作れなくとも、データの形で様々な著作権フリーの映像素材が販売されていますので、
最初はそれらを購入して映像素材を揃えるのも一つの手です。
自分で創意工夫を重ねて製作した映像素材でプレイすることは、VJプレイにおける醍醐味の一つではあります。
しかし、 私個人の考えとしては、空間を適切に「演出」できるのであれば、必ずしもオリジナルの映像素材にこだわる必要はないと考えます。
端的にまとめると、音楽との相乗効果で、その場にいる人々を盛り上げられる演出ができれば素材は自作/他作なんでもよいのです。


表現の幅、演出の幅を広げるという意味では、映像素材が作れ、且、
それらが豊富にあるにこしたことはないのですが、いきなり高いハードルを設ける必要はありません。
初心者VJは、友人、先輩のVJから映像素材をもらったり、映像素材を購入して、まずはVJへの一歩を踏み出すのも一つの手段です。
実際の現場に挑んでみないと分からない事も多々あります、また現場での経験は、手塩にかけて作った映像素材と同じくらいの価値があります。
そして現場に出れば今の自分に何が足りないか色々見えてくるはずです。
まずは現場に挑む。家での練習とは違い、本番は色々なアクシデントが発生しますが、
勇気をもって一歩を踏み出すと楽しい世界が広がっているかも知れません。

9月の予定表

2010/9の活動予定



9/3 渋谷/AUBE/GIG@M2 Vol.7/18:00-

9/12 渋谷/Effect/Sontag/17:00 -

9/19 秋葉原/Mogra/VJ session/16:00-
9/21 渋谷/Ruido,K2/ こより絶対領域サーキット2nd STAGE 〜渋谷編〜/18:00???
9/25 下北沢/reg/Ob-session/22:00-


どこかで見かけたら生暖かく見守ってやってください。

MIDIコントローラ

VJソフトによっては、マウスやキーボード以外の外部コントローラを用いての制御が可能なものがあります。
そこで活躍するのがMIDIコントローラです。


MIDIコントローラ(wikiから引用)

MIDIコントローラー(ミディコントローラー、英: MIDI controller)とは、
MIDI規格を利用した電子楽器の演奏や、MIDI規格を利用した諸機器の制御に用いる、
入力機器(ヒューマン・インタフェース・デバイス)の総称である。


VJソフトではフェーダー、つまみ、ボタン等、様々な制御をソフト上で行えるようになっていますが、
それらを物理的に制御するための機材になります。
無くても困りはしませんが、あると非常に便利な装置です。(下記の価格はあくまでも参考価格です。)


・各種MIDIコントローラ 0.3-60万円程度 


個人的感想:
先にも述べたとおり、VJをする上で必須となる機器では無いのですが、あると非常に便利な装置です。
具体的な例で示すと、VJソフトModul8のつまみを調整したり(画面上で1cm程度のツマミをマウスで調整するのは非常に不便)、
VJソフトGrandVJの各種フェーダーを2つ3つ瞬時に動かしたり(マウスだと1つだけ制御するのが精一杯)、
VJソフトResolume(に限りませんが)の映像素材やエフェクトを瞬時に切り替えたり(これはキーボードへのアサインで代替可能)
するのに、キーボードやマウスで行うよりも早く正確に行えるのが特長です。
私の場合は、一部を除いてプレイを自動化せず、手動で各種制御を行っているので、必携の装置になっています。
また、ソフトをマウスで制御しているのに比べて、物理的にツマミやフェーダーを触ってソフトを制御するのは安心感が違います。
世の中には大小様々形状のMIDIコントローラ(鍵盤型やフットペダル型、パッド型、ベース型、ギター方型、
はてまた改造したiiリモコンや各種ゲームコントローラ、またはiPhneやiPadでもMIDI送信できるアプリもあります等、様々なものがあります)
があるので、ネットで調べたり実際にお店で触ってみて導入を検討してみるのもよいかも知れません。
個人的にはつまみやボタンが多いものがお勧めです。(ただし、VJソフトによってはMIDIコントローラ非対応や一部対応のものもありますので、ご利用は計画的に。)




使用機材:
我々のチームでは、各人各様のMIDIコントローラを使用していますが、私個人では見栄えと機能の両面を検討した結果、
Edirol/PCR-300を使用しています。
キーボード部分は32鍵盤有り、フェダー、つまみの数も充分数備えているので慣れると非常に便利な製品です。
また見栄え的にも目立つので、イベントで一緒になった方々との話の種にもなります。
(実際これで何やってるんですかと、イベント中にもよく尋ねられます)
ただ、重さが2.9kgある上、容量的にも嵩張るので、ただでさえ他の荷物の嵩張るVJ用途には、
携帯性の面でお勧めできない製品でもあります。。。
(そんな私も夏場の持ち運びに辟易して、AKAI/APC40を新しく導入しました。製品として非常によいものだし、気に入ってるのですが。。。)
なお、他のメンバーはKorg/nanoシリーズを使用しています。この製品はコスト/携帯性の面で非常に優れているせいか、色んなVJさんが使用しているのを見かけます。


フェードとカットイン

VJをやっているとよく耳にする単語で、それぞれ代表的な映像切り替え方法となります。
まずは単語の意味から。


フェード(wikiより引用)


フェードは映像編集技術用語のひとつである。フェードイン(fade-in あるいは fade-up)とフェード
アウト (fade-out) の2種類がある。
フェードインは「一色の状態から徐々に映像が見えている状態に移り変わること」であり、フェード
アウトは「映像が見えている状態から徐々に一色に移り変わること」である。「一色の状態」は、古
くは黒が多かったが、編集機材の発展に伴い黒縛りはなくなり、現在では「ホワイトフェード(白か
らのフェードイン、白へのフェードアウト)」なども多用されている。主として物語の展開の上でひ
と区切りつける必要がある場合に使われる。
2つの映像の片方をフェードアウト (FO) し同時に他方をフェードイン (FI) することで画面を切り
替える手法をクロスフェード・ディゾルブ・オーバーラップという。ファイナルラップとは違う。


カットイン(wikiより引用)
あるショットに別のショットを挿入することをカット・インという。この場合は、主となる長めのシ
ョットに従となる短めのショットが切り込まれるが、二つのショットが対等である場合はカットバ
ックという。


上記の説明を読めば意味は伝わるかと思いますが、大雑把に説明しますと、AとBの2つの映像を用意
した場合、フェードとはAの映像からリニアにBの映像に切り替える方法。カットインとは瞬間的に
Aの映像からBの映像へ切り替える方法のことを指します。
私の場合、前者はほとんど使いませんが、曲と曲が徐々に切り替わっていく際、後者はBPMに合わ
せてテンポよく映像を切り替える際、フラッシュバック的に映像を出したい際等に使用しています。


今回は代表的な映像切り替え方法を説明しましたが、ソフトや映像ミキサーによっては、様々な映像
切り替え方法が存在するので、自分なりに使い方を見極めて色々な方法を試してみるとよいと思いま
す。

そもそもVJ用のソフトとは

世の中にはフリーから有料版まで様々な種類のVJ用ソフトが存在します。
ほとんどのVJ用のソフトはVJプレイ用に設計されており、主に映像素材(=DJで言う所の曲にあたる
存在)をフレキシブルに扱えるのが特徴です。(自分のプレイを録画できるソフトも存在しますが、
映像素材作成には別のソフトが必要になります。) 代表的な機能として、複数の映像を切り替えなが
ら途切れずに再生できる「スイッチング機能」/「フェード機能」、 複数の映像を同時に再生しなが
ら合成できる「ミキシング機能」、 再生している映像に特殊効果を与える「エフェクト機能」の4つ
が挙げられます。
またVJソフトによっては、テキスト表示、BPMマッチング、再生速度調節、ビジュアライザ機
能、色味の調節、出力映像の台形補正等、様々な機能を備えているものもあります。更に外部制
御装置としてMIDIやOSCでコントロールできるものもある等、実に様々なソフトが存在します。


その様々なソフトの中から自分のプレイに合ったものを取捨選択するのは一手間ではあります。しか
し一度使い始めると、大抵の場合長い付き合いになるので、まずは各ソフトのデモ版を試用して自分
の納得いくものを選択するのがよいと思います。
参考までに、私が今まで使ったことのあるソフトとその特徴を下記に挙げておきます。
なお、各ソフトはデモ版がありますので気になった方はメーカHPよりダウンロードしてください。
(各ソフトは日本語マニュアルが存在しませんが、2010/8の時点では国産のソフトよりも高機能です。)


GrandVJ(Win/Mac
直感的で非常に分かりやすいUI
最大8個の映像をミキシング可能
各映像をA/B(A、Bの割合は自由に設定可能)に割り当てて、フェードすることが可能
再生速度調整可能
MIDI、OSCコントロール可能
最終出力映像の形状補正可能
最終出力映像の明るさ、コントラストの調整が可能
箱物ソフトにつき自由度が低くカスタマイズができない
映像のポン出しを行う際、非常にレスポンスがよい
各映像素材は頭出ししかできない
Quartz composerを使用すると非常に重い
Ableton liveと連携した自動演奏が可能(ただ、VJは音出ししないので実用性は。。。)


Resolume(Win/Mac
分かりやすいUI
無制限に映像をミキシング可能
各映像をA/Bに割り当てて、フェードすることが可能
BPMマッチング可能
MIDI、OSCコントロール可能
プラグインを利用して多種多様なエフェクトを追加可能
各映像素材にキューポイントを設定可能
プレイ映像の書き出しが可能
Ableton liveと連携した自動演奏が可能(ただ、VJは音出ししないので実用性は。。。)


Modul8Macのみ)
とっつきの悪いUI(ただし一度理解してしまえば使い勝手がよい)
最大10個の映像をミキシング可能
基本機能にプラグインモジュール(自作可能/ネットに共有スペース有)を追加することが可能
各映像をA/B(A最大5個、B最大5個)に割り当てて、フェードすることが可能
プラグインのモジュールを利用すれば、BPMに同期した自動演奏が可能
MIDI、OSCコントロール可能
各映像の明るさ、コントラスト、色合いの調整が可能。
各映像素材にキューポイントを設定可能
プレイ映像の書き出しが可能
現時点(2010年9月)で最もquartz composerに対応している